「受けの手筋100」では1.駒を逃がす、3.合い駒を打つ、と基本ゾーンにある両手筋ですが、この2つにはどのような違いがあるのか考えてみましょう。「合い駒を打つ」との比較なので、「駒を逃がす」の「駒」はこのページでは玉を指すことにします。
長所
相手の攻め駒の利きを止められる
手順に堅くできる(ことがある)
短所
持ち駒を使う
玉は動けない
相手の攻め駒の利きを駒を壁にすることによって受ける「合い駒を打つ」は駒の利きを遮断することができるのが大きな特徴です。また相手の不用意な王手に対しては駒を打って守りを堅くすることができるという利点もありますが、打った駒を狙われることも多いため、すべて受けた側にプラスになるとは限りません。また、駒を使わされてしまうこと、駒を打つことに1手使ってしまうので当然のことながら玉は動けないことは、この受けの欠点です。
長所
玉を動かせる
短所
相手の攻め駒の利きが直通したままである
相手の攻め駒の利き筋から外すことによって受ける「駒を逃げる」は玉を動かすことができるのが大きな特徴です。ただ、攻め駒の利き筋から玉を動かしているだけなので、攻め駒の利きは通ったままになっており、追撃される可能性が高いのはこの受けの欠点です。



簡単な例ではありますが、左上図をご覧ください。この局面は△5九飛成と王手されたところです。▲2八玉と「駒を逃げる」受けと▲4九歩と「合い駒を打つ」受けの両方が考えられますが、どちらが正しいでしょうか。
▲2八玉と逃げると△2九金(左中図)と打たれ、以下▲1八玉、△1九金、▲2八玉、△2九龍まで詰んでしまいます。これは、「相手の攻め駒の利きが直通したままである」という「駒を逃がす」の欠点をうまく利用されてしまっています。
ここは▲4九歩(左下図)と受けるのが正解で、龍の利きを止めてしまえば先手玉は安全です。



次にこの左上図をご覧ください。これも▲4八歩と「合い駒を打つ」受けと▲2七玉と「駒を逃げる」受けの両方が考えられますが、どちらが正しいでしょうか。
▲4八歩と合い駒を打つと△3六金打(左中図)と打たれて詰んでしまいます。これは玉が危険地帯3七にいることに気が付いていない受けで、「玉を動かせない」という「合い駒を打つ」の欠点を利用されてしまっています。
ここは▲2七玉(左下図)と逃げて、危険な3七の地点から動くのが正解で、危ないようですが△3六龍なら▲1八玉、△3六金なら▲1六玉、△2七金なら▲1八玉といずれも詰みをのがれています。