
左図の△7一角が「攻め駒を責める」です。3二の角の利きもあって5三の成銀の行くところがありません。以下先手は▲4三飛とつなげましたが、以下△5二金左、▲同成銀、△同金、▲4五飛成、△4四銀打と龍の捕獲に成功しました。

2007年12月をもって@Xの企画が終了してしまったため、今月からは受けの手筋100級位者ゾーン(黄)が終了したことで紹介する機会がなくなった僕の受けを紹介していこうと思います。△2五銀と玉の上部を押さえてきた手に対する▲2八香が「下段の香」です。△2五銀と打たれた局面では、△2六銀打~△3六銀と二枚銀で下段に落とされる手が一番怖いので、下段に香を打つことで△3六銀には▲2六香と銀を取れるようにしたわけです。何もしなくても次に▲3八玉と引く手が味がいいので、先手がよさそうです。遠く後手玉の寄せも狙っていることも見逃せません。

▲7三歩、△8二飛を利かした後の▲4五歩と突いたのが「じっと手待ち」です。△8六歩からの突破が見えていますが、▲4五歩の代わりに▲7六飛と歩を取りながら受けても△7五歩と打たれ、▲7九飛に△8六歩と結局突破されてしまいます。▲4五歩は角道を通しつつ手を渡し、△8六歩にはそこで▲7六飛を狙った手で、△7五歩と打たれても▲8六飛と歩を取りながら飛車をぶつけることができます。後手は歩切れが痛く、以下△8四銀と辛抱してきても▲7二歩成が厳しい手で先手よしとなります。

▲7一角成の飛車取りに対して△8三飛と1つ浮いたのが「馬の位置を悪くする」です。▲7一角成に対しすぐに△8五歩と飛車の取り合いに持ち込む手もありますが、この場合は▲8二馬、△8六歩と飛車を取り合った後に▲6四馬と好位置に馬を引きながら銀も取られてしまうので失敗です。ここは1度△8三飛と浮いておき、▲7二馬ならそこで△8五歩と突けば飛車の取り合いになっても銀は取られずに済みます。馬の位置が悪くなるので△8五歩には▲8九飛などと飛車を逃がすでしょうが、空いたスペースに△8四飛と浮けば飛車が取られないので十分です。

△4六歩と金取りに打たれた手に対して▲4八金引とするのが「金は引く手に好手あり」です。△4七銀と打ち込まれたとしてもかなり手抜きができるので先手有望ですし、△4四桂と控えの桂を打たれても▲4五銀がぴったりの受けで攻めが続きません。△4六歩に▲3七金と横に逃げると△4五桂と打たれてまだ安心できない形です。

▲8三歩と垂らした手に対する△7三銀打が「好防の銀」です。歩成りを防ぎつつ飛車を攻める味のよい一手です。飛車を逃げると△7四歩と桂を殺されて指し切りになるので、先手にとっては忙しい局面になってしまいました。

▲5五角と6五の桂に当てられた角を逃がした手に対する、△5四金(元4三)が「攻め駒を攻める」です。囲いを自ら崩しているので、指しにくい手ですが▲6四角と出られる手を防ぐ意味と▲6六銀打からの攻めを緩和している意味があります。▲5九飛とつなぐ手はありますが、△5八歩からの連打がぴったりなので受けになりません。角を逃げたのでは不利と見た先手は▲3三角成と切りましたが△同桂で後手玉への早い攻めがなくなってしまいました。

△1四飛から△8四飛と大きく転換した手に対する▲6八角打が「自陣角」です。後手には△8五飛打からの8筋突破という分かりやすい狙いと、△4八歩成と成り、▲同金右なら△2八飛、▲同金左なら△5九飛と飛車を打ち込んでいく狙いの2つがあります。▲6八角はその両方を受けた1手で、△8五飛打なら▲8六歩、△同飛、▲同角、△同飛、▲8七歩と収めることができ、△4八歩成には▲同金左と取っておけば角のおかげで△5九飛の打ち込みがありません。この1手で完全に後手の攻めが途切れ、こちらが一方的に攻める展開になりました。

6筋で銀桂の総交換が行われた後の△4五歩が「味のいい突き出し」です。歩が4四のままでは3三角の利きが二重に止められていて角が使いにくく、また飛車の横利きが通っていないために先手から▲6四角、△同金、▲同飛という強襲の筋があります。△4五歩はこの2つの陣形の不備を一気に解消する1手で将来△4六歩と突く手が穴熊崩しに有効にはたらく場合もあります。今回からどのように駒が動いたのかが盤面を見て一目で分かるようにしました。この手の味の良さをより感じていただくことができるのではないかと思います。

先手が▲2一金と飛車を取った手に対する△3七銀が「安全第一」です。今後手玉は広い形ですが、5五桂があるために5四~6三の脱出ルートがないので、上から押さえられるとまだ油断できません。というわけで飛車に当てつつ銀を打ち、次に△4六銀成として上部を厚くしようとしたわけです。以下▲4七香と王手をかけてきましたが、△4六桂と受けて依然飛車当たりのままで先手が忙しい局面です。

△7六飛成と馬取りに飛車を成った手に対する▲6六歩が「要の駒を取らせない」です。後手には持ち駒が歩しかなく攻めがない状態ですが、この手を省くと△5六龍、▲同金、△6七角と後手に反撃のチャンスを与えてしまいます。先手の馬は攻防によく利いているのでこれを消されてしまうのは明らかなマイナスです。攻める前に手堅く受けることにより、後手は依然攻め駒不足でなかなか攻められない状況です。

取られそうな桂をわざわざ1手かけてまた取られるところに跳ねる▲4四桂が「攻防の桂」です。攻めの意味のほうがわかりやすく、この桂を放置すれば次の▲3二歩が激痛ですし、△4四同歩と桂を取っても、▲3二歩、△同金、▲5四角と後手の歩が上ずった隙をついて攻めが続きます。受けの意味というのは△4四同歩と取らせておけば将来△5六歩と突かれても馬の利きが2二まで届かないというものです。▲4四桂と跳ねなければ、次の△5六歩が桂を取りつつ馬の利きを通す味のいい手になってしまうので、▲4四桂、△同歩とこの場所で取らせることで△5六歩を意味のない手にしてしまおうという狙いがあります。つまり、この桂跳ねは後手の攻めを受けたのではなく、馬を自陣に引くという相手の味のいい受けを防ぐ意味があります。